カテゴリー「楽堂 ODEUM」の33件の記事

2017年9月24日 (日)

南予を行く 郷愁の内子・大洲から八幡浜へ

連休中は研究室企画として、一泊二日の南予の旅。内子は二十年前に訪れて以来でしたが、大洲街道の古い町並みや内子座はしっかり手入れされていました。木蝋資料館となっている上芳我邸は重要文化財として有名ですが、日本のビール王が育ったという高橋邸も風情があります。宵の口に街で夕食を取り、内子にある千代の亀酒造と酒六酒造の銘酒を入手して、鄙びた山間の小薮温泉に宿泊。翌朝は大洲の町並みを散策し、明治の名建築、臥龍山荘へ。肱川を望む崖上に数奇な建物と庭園は、期待以上に品格があり見事。崖を見下ろす不老庵の茶室で優雅に茶を頂きました。大洲城の天守に上った後は、西に向かい八幡浜へ。港で豪勢な海鮮丼を食し、市場で地の魚を見て回った後、旅の終わりは諏訪崎まで若干ハードな行軍。西国の果てにて、豊後水道と佐田岬半島の景色を拝みました。

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2017年8月12日 (土)

涼夏の定例演奏会 メトネルのソナタ初挑戦

山の日の翌日、ルーテル市ヶ谷ホールにて演奏会「ぴあの好きの集い」に出演。8月に入ってからのかつてない涼夏のお陰で、数年ぶりに体調不良もなく、落ち着いて演奏会に臨めました。いつもの長丁場の中、今回はメトネルのソナタに初挑戦。コンパクトながら3楽章形式の中でメトネルの多彩なピアニズムを味わえる「おとぎ話ソナタ」を選曲。完成度は上がらず仕舞いのため、本番では綻びが多々出てしまいましたが、久しぶりにロシアの旋律が体を駆け抜け、大地のパワーを得た気分になりました。しばらくロシア物を物色することになりそうです。Performance Historyを更新。

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2017年7月 4日 (火)

フレイレ来日公演 ブラジルの自由さと優しさに満ちた音楽

今や巨匠として名高いネルソン・フレイレには長年強い関心を持っていましたが、生で聴く機会に巡り会えずにいました。12年振りの来日公演が開かれると知り、万難を排してすみだトリフォニーホールへ。曲目変更を受けて、前半にバッハ編曲物とシューマンの幻想曲、後半にヴィラ=ロボスの小品とショパンの第3ソナタ。いずれも若い頃の録音は聴いていますが、年を積み重ねた今の演奏に関心が集まります。最初に舞台袖から七十過ぎの老人が小さな歩幅で登場した時は少し心配しましたが、ピアノを弾き始めた瞬間に杞憂に終わり、意外にも誠実で優しさに満ちた演奏に心打たれました。壮年期にはアルゲリッチにも比肩する情熱的な演奏、特にラフマニノフ第3協奏曲やシュトラウス=ゴドフスキ「こうもり」、ヴィラ=ロボス「野生の詩」が強く印象に残っていましたが、実は昔から演奏に派手さや奇をてらうことはなく、正統派だったことに気付かされます。とはいえ堅い正統ではなく、ブラジルの風土を連想させる自由さと大らかさが、音楽をより豊かに響かせているようです。ショパンのソナタ最終楽章やアンコールでは、さりげなく高度な技巧も披露。ブラジルの巨匠は、聴く人を幸せな気分にする類い希なピアニストでした。

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2017年5月 9日 (火)

カツァリス来日公演 大手町でシューベルトの夕べ

浜離宮のロシア物から4年振りにカツァリスの来日公演を聴きに、夕方の仕事帰りに大手町の日経ホールへ。今回のプログラムはオール・シューベルト、正直に言えば、彼のシューベルトにはあまり期待しておらず、初めて訪れるホールの方に興味がありました。お馴染みの即興演奏で幕を開けると、前半は楽興の時や即興曲、3つの小品から数曲、リスト編曲3曲を一気に弾きましたが、彼の自由奔放な演奏がシューベルトの詩情の明るい側面を際立たせていました。後半はソナタ第21番でしたが、音楽が次々に流れていくようで、この名曲の深遠な世界には程遠い印象を持ちました。とにかく彼が健在なことがなにより、また面白いプログラムを企画してくれることでしょう。ホールの方は多目的ということで残響は乏しい上、6列目正面にもかかわらず音量も小さく、残念ながら名演をじっくり味わえる場ではありませんでした。チケット代は随分安価でしたが、安かろう悪かろうということか。

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2016年11月26日 (土)

P2演奏会十回目終了 東欧以東の珍曲・好演目白押し

二年に一度のこの時期恒例、Piano Perspectivesの記念すべき第10回演奏会「文化の十字路~東欧から中央アジアへ~」をかつしかシンフォニーヒルズのアイリスホールで開催しました。いつもの如くゆったりと客席で仲間の演奏を楽しみましたが、今回は二十年来の十回目ということで、出演者数も過去最大、普段聴くことのない曲もずらりと並び、しかも完成度の高い好演が続きました。アマチュアながら年を経る毎に磨きがかかる様に大いに刺激を受け、今後も益々楽しみです。私自身はバルトーク、ヴラディゲロフ、スメタナと初めて弾く作曲家ばかり。ルーマニア、ブルガリア、チェコの民俗音楽に触れ、東欧を巡った際の風景が脳裏に蘇り、新鮮な気分に浸ることができました。下町での演奏会が3回続きましたが、次回はいよいよ上野の森、旧奏楽堂に戻るかもしれません。

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2016年11月19日 (土)

連夜のトリフォニー 森下のアルカン、ロジェのドビュッシー

週末二晩続けて、すみだトリフォニーホールに散策がてら自転車で出かけました。金曜は小ホールにて森下唯氏のオール・アルカンプログラム、前半に「鉄道」、後半に「ピアノ独奏による協奏曲」と破格の練習曲が並びます。「鉄道」では驚異的な速弾きをこなし、鑑賞に堪える作品として見事に成立。独奏協奏曲では、巨大な第1楽章で多少の混乱や同音連打が埋もれるなど、さすがに苦しい箇所が見受けられましたが、蛮族風の終楽章では真骨頂が存分に発揮されていました。土曜は大ホールにてパスカル・ロジェによるドビュッシーの前奏曲集、舞台背景に投影される葛飾北斎の浮世絵を眺めながらの風流な演奏会。来週開館するすみだ北斎美術館に向けた企画のようです。三十年前に買ったロジェのプーランクのCDはお気に入り、ようやく彼の生演奏を聴くことができました。若かりし頃の録音では切れ味の良い音質とリズム感が光りましたが、今回のドビュッシーでは円熟味たっぷり、暈かしや余韻を生かす技の数々に新鮮な感動を覚えました。ところで、映像で現れた「風流 隅田川八景」「雪月花 隅田」を新しい美術館で改めてじっくり鑑賞したいものです。

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2016年9月 7日 (水)

ユジャ・ワン来日公演 プログラム二転三転とiPad妙技

2013年の二都公演以来、三年振りにユジャ・ワンのリサイタルを聴きに、開館30周年のサントリーホールへ。いつもの右側バルコニー席に座ると、プログラム変更の紙が配布されたにもかかわらず、更なる曲目変更のアナウンスが流れました。当初のプログラムはロシア物主体でしたが、前半はクライスレリアーナ、カプースチンの変奏曲、ショパンのバラード第1番、後半はハンマークラヴィーアと予想外の重厚なプログラム。さて演奏はというと、細部まで明瞭なシューマンは健康的過ぎるものの、曲自体が持つ情熱は表現されている模様。一方、ベートーヴェンでは華麗な技術ばかりが耳に付き、雄渾かつ深遠な終楽章では流動感ばかりで構築感に欠ける印象を受けました。とはいえ、予想外の楽しい出来事も。実は、アナウンスでは前半はシューマンのみでがっかりしていましたが、カーテンコールと思いきやiPadを持って現れてはピアノに置いて、カプースチンを弾き始めました。アンコールでも、プロコフィエフの第7ソナタ終楽章をiPadで譜めくりをしながら弾く様には驚かされました。結局、メイン以外の曲目で彼女らしさが披露された一夜でした。

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2016年8月13日 (土)

定例演奏会に出演 過酷状態にてローゼンタールに挑む

今年もお盆休み恒例、ルーテル市ヶ谷ホールにて演奏会「ぴあの好きの集い」に出演。今回は最後にローゼンタールとゴドフスキのシュトラウス編曲物がずらりと並ぶ圧巻のプログラム。その一端を担って、私自身はローゼンタールのシュトラウス幻想曲を演奏。春先から体調不良のリハビリとしては重すぎる難曲に挑むことになり、当初は人前で演奏できる目処が立ちませんでしたが、何とか形になるまでに至りました。ところが演奏会の数日前から、突然右耳が水中に潜った時のような難聴に襲われました。実は二年前にも同様の症状が出て、その時は当日何とか治まりはしましたが、今回は全く治癒せずに出演時間を迎えました。音が歪んだり割れたりして聞こえる中、ペダルの響きが全く分からないという最悪の状態。幸い頭脳は冷静、身体感覚のみを頼りに最後まで曲として弾き切ることに専念、何とか事無きを得ました。シュトラウス特集に穴を開けなかったことにほっとし、最終部のゴドフスキによる4部作を片耳を塞いだ状態で楽しみました。シュトラウス幻想曲には必ず再挑戦するとして、Performance Historyを更新。

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2016年7月16日 (土)

ガブリリュク来日公演 若きヴィルトゥオーソの成長

彩の国さいたま芸術劇場での連続企画、ピアノ・エトアール・シリーズのアンコールとして、アレクサンダー・ガブリリュクが再登場。いつもながら、土曜の午後の埼京線に揺られて与野本町へ。プログラムに新規性はありませんが、後半のプロコフィエフ、ラフマニノフ、バラキレフを楽しみにしていました。ところが、意外にも前半のシューベルトのソナタ第13番やショパンの幻想曲が秀逸、多彩な音色や繊細な歌い回しに深い精神性を感じました。一方、後半は彼の本領である途轍もないダイナミックレンジが発揮され、聴き応えは十分あるものの、強音が割れて聴き苦しい面がやや残念。ラフマニノフでは後期ロマン派特有の甘美ながら陰翳のある叙情に欠ける気がしましたが、イスラメイでは最大限の演奏効果を見事に実現。アンコールでもフィリペンコのトッカータで聴衆は度肝を抜かれたよう。見掛けによらずまだ三十歳を過ぎたばかりですが、希代のヴィルトゥオーソが円熟に向けて着実に歩んでいる様を目の当たりにしました。

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2016年3月16日 (水)

豊洲シビックセンターの天空舞台 ファツィオリ初体験

音響学会の研究会を兼ねて、昨年開館した豊洲シビックセンターのホール見学会に参加しました。私自身もホール内のピアノ演奏聴取に関する研究について発表し、その後のチェロ、フルート、ピアノ独奏によるホール試聴会では、役得でピアノを担当することに。客席数は300席、比較的急傾斜の客席段床、最大の特徴は二面ガラス張りの舞台と客席、東京湾とレインボーブリッジの遠景も臨めます。建物外皮とホール内壁の二重ガラスの間には開閉式の壁が挿入されており、無窓状態にすることも可能です。ピアノは都内ホール初のFazioli F278、実は初体験を希望し、試聴会に盛り込んでもらいました。さてピアノの印象はというと、とにかく音色の明るさが際立ち、曲との相性を選ぶように感じました。ベートーヴェンのソナタとショパンのワルツを弾きましたが、後者の方が断然音楽を引き立ててくれます。舞台が広いためか演奏位置では明瞭度がやや低いようにも感じましたが、ともあれ、このホールは立地、規模とも使いやすく、アマチュア演奏会には重宝しそうです。

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