カテゴリー「楽堂 ODEUM」の41件の記事

2018年9月25日 (火)

音盤回想録2017 ハフのシャルベンカと来日公演での爆演

昨年の音盤回想録をようやく完成させ、Discs Reminiscent 2017を掲載。LPが懐かしいケントナーのリャプノフ、ヘンクの偏執狂的なモソロフ、オズボーンの優美なカプースチン、ソコロフの壮大なラフマニノフと、ロシア物が半分を占めました。シャルベンカのピアノ協奏曲第4番で魅せるハフの流麗な技巧にも改めて聴き入ってしまいましたが、その彼のリサイタルが三年振りに武蔵野市民文化会館で開催されました。前後半の冒頭にドビュッシーの映像両巻を据えて、前半はシューマンの幻想曲、後半はベートーヴェンの熱情で締めるプログラム。ドビュッシーでは透明な音色で淡々と演奏を展開していましたが、シューマンはかなり情熱的、ベートーヴェンに至っては終楽章を脱線寸前、というより半ば脱線しながら爆発的な勢いで駆け抜けていき、これには随分驚かされました。若い頃からどのような難曲でも一糸乱れず上品に弾き切るイメージがありましたが、五十代半ばを過ぎて感情の爆発的表現に目覚めたのかもしれません。

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2018年8月18日 (土)

真夏の静岡遠征 ガラス張りホールの調整 駿府城と青葉横丁

夏休み期間にホール音響設計の仕事で掛川へ。三共製作所の工場に併設されたガラス張りの多目的ホールの音響測定を二日間にわたって行いました。エンドステージ型やアリーナ型の座席配置で室内の残響が適度となるように、可動吸音衝立や吸音ブラインドを調整する合間、新品のスタインウェイのフルコンを試奏。空調騒音対策に難儀したホールですが、残響はブラインドによる調節範囲が広いので、一安心です。掛川を後にして静岡でふらり途中下車。駿府城の二ノ丸堀から東御門をくぐって駿府城公園に入り、園内を散策。家康公像への挨拶を済ますと、繁華街南端の青葉横丁へ。赤提灯が並ぶ細い路地は、整備されたものの風情が残っています。その入口の名店、三河屋に滑り込むと、小さなコの字カウンターのみの異空間。気の利く主人に身を任せ、静岡おでんと揚げ物を頂くと、そのもてなしは高級てんぷら屋のカウンターにも思える程。最高にいい気分で静岡を後にしました。

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2018年8月11日 (土)

山の日のピアノ三昧 カプースチン予行練習

今年は山の日にルーテル市ヶ谷ホールにて、恒例の演奏会「ぴあの好きの集い」に出演しました。年々演奏会の規模が大きくなり、ついに真昼の12時台に開演、19時過ぎまでの長丁場。名曲名演の中、初めて聴いたドノスティアのバスク前奏曲集、ブラジル人作曲家ゴメスのナソン・プリメイラが印象に残りました。私自身は12月のP2演奏会に向けて練習中のカプースチンのピアノソナタ第1番から第1、第4楽章を演奏。鍵盤の感触の僅かな違いから弾きこなせなくなる箇所が露呈し、ある意味で良い予行練習となりました。とはいえ、残り4ヶ月で第2、第3楽章を譜読みから取り掛からなくてはならず、突貫工事は避けられません。明日からのお盆休みは、練習室に籠もってピアノに向かうことになりそうです。

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2018年6月20日 (水)

待望のアムラン来日公演 運良く特等席へ P2演奏会予告

1997年にマルク=アンドレ・アムランの自主公演をアマチュア仲間で企画してから、早二十年。今や伝説的なピアニストの地位を確立したアムランが久々に来日することを知り、ヤマハホールのチケットを入手しようとした時には既に売り切れ状態。半ば諦め掛けていたところ、その仲間から予備のチケットを譲り受け、2階バルコニー最前列の特等席に無事到着。前半はハイドン、フェインベルク第1・第2、ベートーヴェン「熱情」のソナタ4曲、後半はシューマンの幻想曲と、重厚なプログラム。個人的にはフェインベルクが一番の関心事、熱情も先般のムストネンとは別の独自性が期待されます。案の定、熱情ではハイドンと同様にドライかつダイナミックな演奏を展開し、先入観に頼らずに巨大な構築物を現前化してみせてくれました。フェインベルクでも複雑難解な和声をバランスよく明瞭に弾きこなし、全体の構造を浮き上がらせることに成功。アンコールでは自作のトッカータも披露し、超絶技巧と探究心の健在ぶりを再確認した一夜となりました。ところで、前週には半年後に演奏会を控える仲間で恒例のホームパーティを開きました。いよいよ12月のPiano Perspectives第11回演奏会に向けて本格練習に励まなくてはなりません。

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2018年5月 3日 (木)

熱狂の日に新旧ロシアンピアニストの二公演

連休中に東京国際フォーラムで開催されるラ・フォル・ジュルネの演奏会へ初めて足を運びました。建物周囲には沢山のキッチンカーが並び、オープンカフェが賑わっていました。かつての指導学生がホールAの音場支援システムの設定に携わったこともあり、残響付加の効果の体感を兼ねて、ロシアの若手ピアニスト、ルーカス・ゲニューシャスによるショパンのピアノ協奏曲第1番を拝聴。敢えて2階バルコニーの遠くの席を選びましたが、舞台は小さく見えるものの見晴らしは良好。聴衆はまず、天井や側壁のスピーカから残響音が出ていることに気付かないでしょう。流石に音は小さいものの、ピアノの細かなフレーズも聞こえ、落ち着いた演奏に感心しました。この前座を楽しんだ後、有楽町のガード下で一杯やり、ホールB7でのベレゾフスキーのリサイタルへ。曲目は当日発表でしたが、プログラムを開けてみると、録音のないスクリャービンの練習曲作品65やソナタ5番など、大当たり。残響の乏しいホールでしたが、明瞭に聞こえる演奏の詳細に聞き耳を立て楽しみました。熱狂の日は、総じて満足な一日となりました。

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2018年3月30日 (金)

浦安音楽ホールの響き 余興のメトネル再演

音響学会の研究会が昨年開館した浦安音楽ホールで開催され、一人二役、仕事上の記念講演と役得の試聴演奏を担当しました。客席数は303席、残響時間は1.8秒と規模からすると長めながら、1階側壁の透かし壁や残響調整用カーテンなどの工夫で、良質な響きとして感じられました。ピアノはスタインウェイとヤマハのフルコンが備えられていましたが、今回はCFXを選択。舞台上では、ピアノの性格で中音域がやや控えめながら、全体的に響きの豊かさと明瞭性のバランスは良く、弾きやすさに難はありません。客席部には1階後方角部の小さなバルコニーや2階のサイドバルコニーにも座席が配置されていて、舞台との一体感が演出されています。試聴会では、私的な選曲ながら、メトネルのおとぎ話ソナタを昨年夏以来の再演。贅沢な空間で、演奏会気分を味わさせて頂きました。

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2018年2月10日 (土)

ムストネン来日公演 ノンレガート奏法による刺激的な音楽

フィンランドの奇才とも称されるピアニスト、オッリ・ムストネンの演奏を聴きに、土曜の昼下がりのすみだトリフォニーホールへ。以前から、ショスタコーヴィッチとアルカンの前奏曲集、プロコフィエフ「束の間の幻影」とヒンデミット「ルードゥス・トナリス」、といった珍しいカップリングのCDに注目していましたが、生演奏は初めて。前半はシューマン「子供の情景」とプロコフィエフの第8ソナタ。独特のノンレガート奏法により刺激的な音楽が繰り広げられ、特にプロコフィエフの終楽章は圧巻。よくもあれほどの鋭敏な打鍵にピアノが追従できるものと感心しました。後半のベートーヴェンの「森のおとめ」変奏曲と熱情ソナタも類を見ない演奏。熱情はかなり奇異な印象を受けましたが、変奏曲は光るものあり。若い頃の録音にベートーベンの変奏曲集があることを知り、早速物色しましょう。

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2017年12月 6日 (水)

年の瀬の二公演 岡田博美の超絶技巧、エマールの眼差し

11月末は久しぶりに東京文化会館小ホールを訪れ、岡田博美氏のピアノリサイタルへ。標題は「Virtuosity - バロックから近代まで」、前半はバッハの半音階的幻想曲とフーガに始まり、ワルトシュタイン、後半はリャプノフのレスギンガやドン・ジョバンニの回想など、名技性満載のプログラム。バッハの緻密な演奏に対して、後半は意外にも情熱が過ぎ、勢いで走り抜けた印象を受け、やや残念。ホールでは中央やや右寄りの席でしたが、低音域が過多に響き、明瞭性が今ひとつ。記憶では良い音響のイメージがありましたが、前回訪問が思い出せません。少なくとも2014年の改修前ですが、改修の影響か、聴く耳が変わったのか。12月初めは東京オペラシティコンサートホール にて、エマールによるメシアンの幼子イエスに注ぐ眼差し全曲演奏会。最大の期待を持って向かいましたが、演奏会というより宗教的な精神体験のようで、期待以上の圧倒的な感銘を受けました。自身の存在すら意識させない程の音楽への没入感は、エマールの高度な演奏技術と音楽的理解が為せる業。ホールの雰囲気も大いに貢献、もちろんメシアンのまさに神懸かり的な創造があってこそ。

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2017年9月24日 (日)

南予を行く 郷愁の内子・大洲から八幡浜へ

連休中は研究室企画として、一泊二日の南予の旅。内子は二十年前に訪れて以来でしたが、大洲街道の古い町並みや内子座はしっかり手入れされていました。木蝋資料館となっている上芳我邸は重要文化財として有名ですが、日本のビール王が育ったという高橋邸も風情があります。宵の口に街で夕食を取り、内子にある千代の亀酒造と酒六酒造の銘酒を入手して、鄙びた山間の小薮温泉に宿泊。翌朝は大洲の町並みを散策し、明治の名建築、臥龍山荘へ。肱川を望む崖上に数奇な建物と庭園は、期待以上に品格があり見事。崖を見下ろす不老庵の茶室で優雅に茶を頂きました。大洲城の天守に上った後は、西に向かい八幡浜へ。港で豪勢な海鮮丼を食し、市場で地の魚を見て回った後、旅の終わりは諏訪崎まで若干ハードな行軍。西国の果てにて、豊後水道と佐田岬半島の景色を拝みました。

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2017年8月12日 (土)

涼夏の定例演奏会 メトネルのソナタ初挑戦

山の日の翌日、ルーテル市ヶ谷ホールにて演奏会「ぴあの好きの集い」に出演。8月に入ってからのかつてない涼夏のお陰で、数年ぶりに体調不良もなく、落ち着いて演奏会に臨めました。いつもの長丁場の中、今回はメトネルのソナタに初挑戦。コンパクトながら3楽章形式の中でメトネルの多彩なピアニズムを味わえる「おとぎ話ソナタ」を選曲。完成度は上がらず仕舞いのため、本番では綻びが多々出てしまいましたが、久しぶりにロシアの旋律が体を駆け抜け、大地のパワーを得た気分になりました。しばらくロシア物を物色することになりそうです。Performance Historyを更新。

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