カテゴリー「楽堂 ODEUM」の47件の記事

2019年10月21日 (月)

コンサート日和 リベッタとロジェとヴォロディンの来日公演

9月後半からの一ヶ月間に三つのピアノコンサートを大いに楽しみました。一つ目はフランチェスコ・リベッタによるゴドフスキー編ショパン練習曲の全曲演奏会。この前代未聞の演奏会は戸塚区民文化センターにて昼と夜の二部構成で開催されました。超絶技巧が要求されるこの曲集において左手の曲ではさすがに苦労が見えましたが、その対比で両手の曲では余裕が感じられ、最後まで飽きさせませんでした。二つ目は東京文化会館小ホールで開かれたパスカル・ロジェのフランス物演奏会。前半はサティ、ラヴェル、プーランク、後半はドビュッシー、特に学生時代からお気に入りのプーランクの「ナゼルの夜」を生で聴け、感慨が湧きました。最後は紀尾井ホールで開かれたアレクセイ・ヴォロディンのロシア物演奏会。前半はメトネルのおとぎ話、後半はプレトニョフ編チャイコフスキー「眠れる森の美女」とバラキレフのイスラメイ。ロシアンピアニズムを体現する中堅の筆頭は、余す所なく各曲の魅力を引き出し、颯爽とした演奏を繰り広げてくれました。

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2019年9月 6日 (金)

はじめてのブルーノート東京 真夏の夜のカミロ

知人に誘われ、金曜の夕刻、南青山のブルーノート東京を初訪問。正面玄関の扉を開けて地下に降りると、自由席予約のため、一旦ロビーで順番待ち。開場時間になると、しばらくしてもう1階下のクラブへ案内され、舞台の上手側、ピアノ演奏がよく見える座席に陣取りました。座席数は400席程度、室内の吸音が効いていて残響はかなり短そうです。今日のコンサートは、ドミニカ出身のジャズピアニスト、ミシェル・カミロとビッグバンドの共演。カミロと言えば超絶技巧のラテンジャズ、ソロアルバムをDiscs Reminiscent of 2017の一枚に選んだこともあり、一度ライブを体験してみたかったところ。さて、ビールを飲み干し白ワインに移った頃、楽団が登場、最後に御大が陽気に現れました。演奏が始まると、最初は電気音響で増幅された音量の大きさに戸惑いましたが、次第に御大のピアノとドラムス、トランペットやサックスとの情熱的な掛け合いに圧倒され、時が過ぎていきます。静かなピアノソロも途中にありましたが、電気音響のせいで弱音の幅がなく、音色も単調。結局はどんちゃん騒ぎが見せ場、クラシックでは考えにくい御大のピアノ奏法はやはり只者ではありません。こうして花火大会のごとく、真夏の夜の祭典はあっという間に終了。

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2019年8月17日 (土)

旧奏楽堂にて七年振りの演奏会 蝉時雨は相変わらず

夏休み恒例の「ぴあの好きの集い」演奏会が七年振りにリニューアル後の旧東京音楽学校奏楽堂にて開催されました。建物全体が改修され、ホールの座席が新しくなった他、楽屋も綺麗になり、トイレも新設されました。しかし、建物の遮音性能は相変わらず低く、夏場はホールの窓から蝉時雨がしっかりと入り込んできます。昨年のリニューアルオープンの記念式典では残響不足が気になり、ピアノ演奏でどうなるか心配でしたが、私以外に気にしている人は見かけず一安心。座り心地の良くなった座席で長時間の演奏会も楽に聴くことができました。今回私はイギリスのコンポーザ・ピアニストのヨーク・ボウエンの作品を取り上げました。ラフマニノフを想起させる24の前奏曲からの数曲とヴィルトゥオジティに富むトッカータを演奏。もう少し取り上げられても良い作曲家の一人ではないでしょうか。

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2019年6月11日 (火)

音盤回想録2018 ホロデンコ来日公演 新星は正統派

ロシアの若手ピアニストの中で今最も注目しているヴァディム・ホロデンコが豊洲シビックセンターにてリサイタルを行いました。曲目はゴドフスキーのショパン練習曲、スクリャービンの第6ソナタ、プロコフィエフの第8ソナタなど、マニア垂涎の難曲揃い。案の定、大勢の知人が顔を連ねていました。驚くべきは弱音と声部の繊細な制御、指周りや腕力に依らない音楽性が際立ち、若手では久しぶりに正統性を感じさせます。丁度昨年の音盤回想録を完成しましたが、彼のバラキレフのソナタを挙げたところ、今後の活躍から目を離せません。さて、Discs Reminiscent 2018を掲載。新盤ではマルテンポのリャプノフやエマールの鳥のカタログ、昔の愛聴盤からはハフのボーエン、アムランのジャズ風オムニバスなど。最近はなかなか新しいCDを購入できていませんが、二千枚を超えたCDを少しずつ聴き直すように努めたいと思います。

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2018年12月 8日 (土)

P2演奏会11回目終了 古今東西の幻想曲を堪能

平成最後の師走を迎える中、Piano Perspective第11回演奏会「幽玄夢幻の調べ」をかつしかシンフォニーヒルズのアイリスホールで開催しました。題目から予想される通り、古典から現代までの幻想曲が一堂に集まり、大曲も多く重厚なプログラムとなりました。出演者の平均年齢が五十歳に達しつつあるにも拘わらず、皆さんの演奏の質は円熟味を増しながら益々高まるばかり。私自身は夏の演奏会で一部演奏したカプースチンの幻想ソナタを全楽章に渡って弾きましたが、技術が至らず相変わらずの不完全燃焼に。ともあれ演奏会後の打ち上げも含め、気の置けない仲間たちと楽しい時間を過ごすことができました。結局下町の演奏会は4回続きましたが、いよいよ次回は古巣、上野の旧奏楽堂へ戻ることになるでしょう。

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2018年11月 1日 (木)

旧奏楽堂リニューアルオープン 五年振りの響きにハラハラ

上野公園の端に鎮座する重要文化財の旧東京音楽学校奏楽堂が、五年半の耐震補強と保存修理の工事を終えて、ようやくリニューアルオープンを迎えました。この日は建物の前の屋外で記念式典が開催された後、ホールで芸大学長の澤和樹氏らによる記念演奏が披露されました。私自身は修理委員会の一員として音響アドバイザーを務め、客席椅子や内装の交換、内窓設置による防音などを指導したこともあり、ホールの響きをハラハラしながら聴くことに。元々残響の短いホールでしたが、客席椅子を座り心地の良いものに交換したこともあり、さらに少し残響が短くなったかもしれません。修理されたパイプオルガンの独奏を聴くと、響きの物足りなさを感じましたが、その後の弦楽合奏では明瞭なハーモニーが心地よく、一安心しました。さて、P2演奏会が来月かつしかシンフォニーヒルズで予定されていますが、旧奏楽堂での開催は2010年が最後になります。2020年には十年振りに懐かしいこのホールで仲間と一緒にピアノを弾きたいものです。

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2018年9月25日 (火)

音盤回想録2017 ハフのシャルベンカと来日公演での爆演

昨年の音盤回想録をようやく完成させ、Discs Reminiscent 2017を掲載。LPが懐かしいケントナーのリャプノフ、ヘンクの偏執狂的なモソロフ、オズボーンの優美なカプースチン、ソコロフの壮大なラフマニノフと、ロシア物が半分を占めました。シャルベンカのピアノ協奏曲第4番で魅せるハフの流麗な技巧にも改めて聴き入ってしまいましたが、その彼のリサイタルが三年振りに武蔵野市民文化会館で開催されました。前後半の冒頭にドビュッシーの映像両巻を据えて、前半はシューマンの幻想曲、後半はベートーヴェンの熱情で締めるプログラム。ドビュッシーでは透明な音色で淡々と演奏を展開していましたが、シューマンはかなり情熱的、ベートーヴェンに至っては終楽章を脱線寸前、というより半ば脱線しながら爆発的な勢いで駆け抜けていき、これには随分驚かされました。若い頃からどのような難曲でも一糸乱れず上品に弾き切るイメージがありましたが、五十代半ばを過ぎて感情の爆発的表現に目覚めたのかもしれません。

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2018年8月18日 (土)

真夏の静岡遠征 ガラス張りホールの調整 駿府城と青葉横丁

夏休み期間にホール音響設計の仕事で掛川へ。三共製作所の工場に併設されたガラス張りの多目的ホールの音響測定を二日間にわたって行いました。エンドステージ型やアリーナ型の座席配置で室内の残響が適度となるように、可動吸音衝立や吸音ブラインドを調整する合間、新品のスタインウェイのフルコンを試奏。空調騒音対策に難儀したホールですが、残響はブラインドによる調節範囲が広いので、一安心です。掛川を後にして静岡でふらり途中下車。駿府城の二ノ丸堀から東御門をくぐって駿府城公園に入り、園内を散策。家康公像への挨拶を済ますと、繁華街南端の青葉横丁へ。赤提灯が並ぶ細い路地は、整備されたものの風情が残っています。その入口の名店、三河屋に滑り込むと、小さなコの字カウンターのみの異空間。気の利く主人に身を任せ、静岡おでんと揚げ物を頂くと、そのもてなしは高級てんぷら屋のカウンターにも思える程。最高にいい気分で静岡を後にしました。

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2018年8月11日 (土)

山の日のピアノ三昧 カプースチン予行練習

今年は山の日にルーテル市ヶ谷ホールにて、恒例の演奏会「ぴあの好きの集い」に出演しました。年々演奏会の規模が大きくなり、ついに真昼の12時台に開演、19時過ぎまでの長丁場。名曲名演の中、初めて聴いたドノスティアのバスク前奏曲集、ブラジル人作曲家ゴメスのナソン・プリメイラが印象に残りました。私自身は12月のP2演奏会に向けて練習中のカプースチンのピアノソナタ第1番から第1、第4楽章を演奏。鍵盤の感触の僅かな違いから弾きこなせなくなる箇所が露呈し、ある意味で良い予行練習となりました。とはいえ、残り4ヶ月で第2、第3楽章を譜読みから取り掛からなくてはならず、突貫工事は避けられません。明日からのお盆休みは、練習室に籠もってピアノに向かうことになりそうです。

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2018年6月20日 (水)

待望のアムラン来日公演 運良く特等席へ P2演奏会予告

1997年にマルク=アンドレ・アムランの自主公演をアマチュア仲間で企画してから、早二十年。今や伝説的なピアニストの地位を確立したアムランが久々に来日することを知り、ヤマハホールのチケットを入手しようとした時には既に売り切れ状態。半ば諦め掛けていたところ、その仲間から予備のチケットを譲り受け、2階バルコニー最前列の特等席に無事到着。前半はハイドン、フェインベルク第1・第2、ベートーヴェン「熱情」のソナタ4曲、後半はシューマンの幻想曲と、重厚なプログラム。個人的にはフェインベルクが一番の関心事、熱情も先般のムストネンとは別の独自性が期待されます。案の定、熱情ではハイドンと同様にドライかつダイナミックな演奏を展開し、先入観に頼らずに巨大な構築物を現前化してみせてくれました。フェインベルクでも複雑難解な和声をバランスよく明瞭に弾きこなし、全体の構造を浮き上がらせることに成功。アンコールでは自作のトッカータも披露し、超絶技巧と探究心の健在ぶりを再確認した一夜となりました。ところで、前週には半年後に演奏会を控える仲間で恒例のホームパーティを開きました。いよいよ12月のPiano Perspectives第11回演奏会に向けて本格練習に励まなくてはなりません。

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