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2017年7月 4日 (火)

フレイレ来日公演 ブラジルの自由さと優しさに満ちた音楽

今や巨匠として名高いネルソン・フレイレには長年強い関心を持っていましたが、生で聴く機会に巡り会えずにいました。12年振りの来日公演が開かれると知り、万難を排してすみだトリフォニーホールへ。曲目変更を受けて、前半にバッハ編曲物とシューマンの幻想曲、後半にヴィラ=ロボスの小品とショパンの第3ソナタ。いずれも若い頃の録音は聴いていますが、年を積み重ねた今の演奏に関心が集まります。最初に舞台袖から七十過ぎの老人が小さな歩幅で登場した時は少し心配しましたが、ピアノを弾き始めた瞬間に杞憂に終わり、意外にも誠実で優しさに満ちた演奏に心打たれました。壮年期にはアルゲリッチにも比肩する情熱的な演奏、特にラフマニノフ第3協奏曲やシュトラウス=ゴドフスキ「こうもり」、ヴィラ=ロボス「野生の詩」が強く印象に残っていましたが、実は昔から演奏に派手さや奇をてらうことはなく、正統派だったことに気付かされます。とはいえ堅い正統ではなく、ブラジルの風土を連想させる自由さと大らかさが、音楽をより豊かに響かせているようです。ショパンのソナタ最終楽章やアンコールでは、さりげなく高度な技巧も披露。ブラジルの巨匠は、聴く人を幸せな気分にする類い希なピアニストでした。

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